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2005.04.02

サイバーエージェント藤田社長の本

5年前のこと。自宅のHPからネット広告の資料請求をした。時間は夜中の2時。すると明け方4時には「資料請求ありがとうございます」と御礼のメールが来ていて驚いた。更に、8時半に出社すると担当から電話がかかってきた。「本日お時間ありますか?」と。凄え会社があるんだな、と思った。


それは、1週間で110時間働くと豪語する藤田社長率いるサイバーエージェントの創業間もないころの話だ。その藤田社長が本を出したので読んでみた。

「渋谷ではたらく社長の告白」と題されたこの本。


企業パートナーとの出会いと分かれ。インターネットの寵児ともてはやされての上場からネットバブル崩壊、それに伴う社員の離反やマスコミからのバッシング。ライブドア堀江社長、楽天三木谷社長など、いまをときめくIT経営者とのエピソードもあり、なかなか面白く読んだ。


藤田氏と僕とはいくつか共通点がある。福井県出身の氏に対して、僕が社会人のスタ−トをきったのが同じ北陸の石川県。初めての仕事が法人への飛び込み営業。サラリーマンにはなりたくない、とは思いつつ自分になにができるかわからない葛藤、のようなもの。そして何より、企業の永続的な繁栄を検証した名著「ビジョナリー・カンパニー」に衝撃を受け、企業そのものが作品といわれるような会社をつくりたいと思ったことなどだ。


とはいえ、氏は上場企業のオーナー。僕は中小企業の代表。同じような時期に、同じような環境で仕事をはじめて、同じような本に感化されて、そんな二人だけど今は売上ベースでは数百倍の開きがあるのだ。


これを「経営者としての力量の違い」といって片付けてしまえばそれまで。本を読んでみて氏と僕の違いを考えてみた。


まず一つ目は「志の違い」について。藤田氏は「21世紀を代表する会社をつくる」と人生の目標を定義している。僕は「かかわりある人の成長と成功」を人生の目標としている。どっちがよくて、どっちが悪いという問題でもないだろうが、前者の方が大きいことを成し遂げるような感じがする。夢は大きい程よい、と子供のころいわれたが、この志の違いが氏と僕の成果の差だろうか?と。


二つ目は「経営のポジション」について。氏はインターネットという成長曲線まっただ中の業界で戦うことを経営のポジションにした。僕は、インターネットの広告もやったが、基本は紙の広告にこだわった。自分の会社がどのポジションで戦うか?は経営にとっての一大事だ。これを誤ると会社は崩壊するし、正しければ(=市場から支持されれば)多少ダメ経営者でもそれなりの成果を残すことができる。その違いだな、と。


最後は「自分に対しての自信」について。本の中で藤田氏は自分をこう分析(?)する。「怪しい臭いを感じるとさりげなく遠ざける能力が備わっていた」(P107)「私には優秀な経営者を会ってすぐ見抜く力が備わっていたようです」(P199)「営業出身で採用や取材も巧みなプレゼンテーションでこなしてきた私は」(P229)と自信満々なのが回りを巻き込むために大事なのかな、と。僕はここまでいえる自信は正直ない。


そんなことをいいながら僕は上場にも、会社を必要以上に大きくすることにも興味がない。それは「俺ってなんのために経営をしてるんだろう」と思いたくないから。


ネットバブルが崩壊し、社員が造反、マスコミからのバッシングの嵐の中、藤田氏は会社の売却を検討する。そんな頃、藤田氏はこう考えた、と書いている。


サイバーエージェントを設立したとき、絶対に凄い会社に育てると胸に誓いました。恋人とも別れ、仕事だけの人生をえらびました。一日たりとも休まず働き続けていました。美味しいものも食べず、遊びにもいかず・・・。すべては自分の夢のために犠牲にしてきました。会社経営に、人生を捧げてきたつもりでした。そんな自分の生き方が本当に正しかったのか・・。自分の望んでいた人生はこれだったのか・・。そんなことすらもわからなくなっていました。(P270)


一般的に上場をすると、株主が直接的にも間接的にも口を出してくる、という。「売上をあげろ」だとか「今は設備投資をしろ」だとか「社長は遊び過ぎだ」だとか・・会社のことを一番考えているのはオーナー社長なのに、株主というだけで口を挟んでくる人がでてくる。無理をして売上をあげなくてはならなかったりもする。たとえそれが自分の志と相反していてても。


僕はそういう世界はごめんこうむりたい。とはいえ、そういう世界で戦いながら志を通そうとする経営者を尊敬する。10代、20代の若者たちが「自分も起業してみたい」と夢を抱くような成功者のイメージを、私たち企業家が体現する必要があると思う、という藤田氏。同世代の代表としてぜひとも頑張ってもらいたい、と心から思う。企業家志望の方は読んでおいて損はないと思います!


April 2, 2005 |

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