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2006.02.14

小利口(こりこう)と素直と

「当社のマーチャンダイジング戦略からいいますと・・」


担当の部長さんが流暢に話をする。メモをとりながら聞く僕の上司。その横で所在なく聞き耳をたてる僕。


今から13年前の春のこと。新入社員として入った会社での研修の一環で、上司の打ち合わせに同行したときの話。


打ち合わせは1時間に及んだ。社内でも実力派として名高かった上司だ、打ち合わせはズバズバと本音に切り込みつつも、なごやかに進んだ。


終わってから、有楽町の駅前で昼食を食べた。刺身定食を食べながら上司が一言。「で、今日わからなかったことは?」


僕は打ち合わせの中で疑問だったことについていくつかの質問をした。


「ん??それだけ??」


僕はあえて質問をつくった。本当だったら聞かないでもいいようなことを考えた。「それだけ?」と聞かれたらほとんどの新入社員はそうするだろう。面接試験みたいだ、と思った。


「だいたいそれだけだね」


上司はぶっきらぼうながらも質問に答えてくれた。僕は研修で教えてもらったようにメモを取り続けた。


「じゃ俺から逆に聞くけど、マーチャンダイジングって何??」


先ほどの打ち合わせの中で頻繁にでてきた言葉、だ。当時の僕はマーケティングに近いようなイメージの言葉だと思っていた。が、本来の言葉の意味は分からなかった。


そんな僕をみすかすように上司はいった。


「分かってねえよな〜 分かってたらもっとまともな質問がくるだろうしなあ〜」


分からないこと聞け、って話をされたのだから僕は聞くべきだった。が、こんなことを聞いてもいいのか?という意識が働いた。


「そういうの何ていうか知ってるか?小利口(こりこう)っていうんだよ」


新人研修は何日か続いたが、この瞬間以上に「あいたたた・・・」と思う一瞬はなかった。


小利口は素直の対極だ。

そこには自分なりの判断だとかが働く。自分の仕事に自信を持てるようになったら小利口でもいい。逆に小利口くらいでなければ手掛けられない仕事も存在してくるようになる。


ただ、これから仕事で実績をつくる、という人には小利口はハンデだ。


小利口は一時的には高い成果をあげるかもしれないが、長続きしない。これは今まで何人も部下とか後輩とかいう人と付き合ってきた感想、だ。(小利口な人は飽きが早い、という共通項も持っている。辞めるのも早いようだ)


なぜか?


それは教える人のモチベーションが続かない、からだ。

だれも小利口な人に物事を教えたりしたくはないだろう。「分かってるなら勝手にやりなよ」という単純な話、だ。上司や先輩が部下や後輩を指導するのが当然、と思ったら大間違いだと僕は思っている。


なぜか?


会社は働くところであって勉強しにくるところではないからだ。そこでは、当然のことながら教わる人にも教わる作法、がなければならないからだ。


確かに、無茶な上司や先輩もいる。僕だって自分のいうことの100%が正しいなんて思っちゃいない。けど、少なくとも数年のキャリアしかない人たちよりもまともな判断、考え方をしている可能性が高い、とは思っている。


上司と部下を分ける価値とは、つまるところその可能性の大小、でしかない。


話を元に戻そう。


僕の社会人としての生活はこの小利口な自分、と直面することだった。


「お前は頭が良すぎるんだ」と皮肉まじりに何回もいわれた。松下幸之助(松下グループ創業者)さんの本を読んで「素直にならんとあきまへんで」と書いてあって、「そうだよなあ〜」と思うのだがなかなか行動にまで結びつかない。


で、いろいろと考えた結論。


小利口が治らないのなら、本当の利口を見ることだ。


世の中には本当の利口がたくさんいる。そうした人をみると小利口では太刀打ちができなくなることを痛感する。小利口の化けの皮が剥がされる予感をひしひしと感じてしまうような圧倒的な人物、そんな人に会うのが一番だ。


僕はこうした存在に幸いながら巡り会う事ができた。


それでも、小利口な自分はなかなか治らない。人の話を聞いてるようで聞いていない自分に気がつく時、「素直、と口でいうのはたやすいがなかなか難しいものだ」とつくづく思う。


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追記
最近、文章を書く仕事が多いです。なかなか進まない案件を前に、ブログを書く時間をあてれば、と思うのですが、もうしばらくブログの更新にはこだわりたいと思います。


文章のいい考えが浮かぶのが、実はジムのスタジオなんですね。


スタジオで回し蹴りやパンチをした瞬間に、いいアイデァが浮かんだりします。といってもメモがとれないんで、すぐ霧散してしまうんですけどね。

February 14, 2006 |

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Comments

筆者の関係者さん コメントありがとうございます!。僕は昔から「先に仕事をはじめたから上司」「年齢が上だから上司」という考え方がありません。(運動部出身なのですが、「先に生まれたから先輩」という考え方も実は薄いです。)自分なりの世界観がある人には僕は素直にいうことを聞く性質(?)があるようです。あとは必死にやっている人、かしら。それは先輩、後輩問わず、ですね。逆に、立場論ばかりや自分なりの意見や価値判断を示せない上司には反発するようですね。そんな上司に素直になるべきか、と聞かれても答えは???です。僕なら面従腹背、どこかに自分の師匠、となるような存在を探します。素直にいうことをきければいいのですけど、そこが僕の人間力の限界のようです。

Posted by: 大塚和彦 | Feb 16, 2006, 8:14:16 AM

「素直になれ」とは良くいわれた。が、素直になりたくない上司も正直いた。その辺のプライドはある程度はもつべきだと思う。仕事の経験がないからといってやみくもに素直になるというのはあまり好ましくないと個人的には思うがいかが?

Posted by: 筆者の関係者 | Feb 14, 2006, 2:38:54 PM

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