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2009.02.03

企業の「内部留保」について考える

企業は「内部留保」をつかって雇用をまもるべきだ、という意見があります。


確かに、企業にはいままでの活動を通じて得られた「内部留保」がある場合があります。


「内部留保」とはおおざっぱにいうと、「利益(売上から原価や経費を引く)」から「株主への配当」と「税金」を支払った残りの金額です。貸借対照表では、「利益剰余金」とかいわれるもののことだと僕は理解しています。


では、「内部留保」が個人でいうところの貯金のような性格のものかというとそうでもありません。「内部留保は現金であるとは限らない」-これは多くの企業が直面している現実、だと思います。


僕は会社をやって数年はこの辺がよく分かりませんでした。(実はいまでもよく???な部分があります)税理士さんが持ってこられる決算報告書には「利益剰余金」という項目があるのですが、そのお金がどこに存在しているのかどうもよく分からなかったんです。


そう、日々の企業活動の中で「利益剰余金」は在庫に変わったり、設備投資や仕入れのための資金になったり、広告宣伝費になっているんですね。利益があがると人手も経費も増えていくわけですから当然です。


さらにいうと、僕らは法人税を前払いしないといけません。具体的にいうと、決算から半年経過した時点で、前期利益の半分を納めないといけません。仮に、12月決算の会社で1千万円の利益があったとしたら、翌年の6月までに500万円を納めないといけません。


こうして、「利益剰余金」は「前払い法人税」となって形を変えていったりしてしまいます。売上がたっていないのに税金だけを前払いするのですから、翌年の売上が下がってしまっったりすると一気に現金は減っていってしまいます。


そんなことで「内部留保」はどんどんと現金でなくなっていってしまう性質をもっています。(だから、税金を払うために借金をする、なんて矛盾もでてきてしまうのでしょうね)


会社がいまままで貯めた内部留保で雇用を守る、という考え方は分からないでもありません。いい時代の時に「内部留保を手厚くして、将来に備える」みたいなことをいう経営者がいましたからね。


けど、内部留保=現金ではない、という現実も知っていただきたいと思います。


日本の会社システムの中で本当の意味での「内部留保」をつくっていくのは本当に大変だな、と僕は思います。


最近のテレビなどを見ていると「経営側VS雇用側」みたいな図式でステレオタイプに報道されていることが多いのが気になります。


それぞれが、それぞれの事情や立場を尊重し合うには、まずは現実を知ることが大事かと。「内部留保」という言葉がなんとなく独り歩きしているみたいなので僕の考えを書いてみました。


追記
決算書の「利益剰余金」はほんとうによくわかりません。最近はあまりよく分からないので、「決算書は税金を払うための計算書だ」と割り切って考えています。


中小企業の代表者が「利益剰余金がこれだけあるから経営が安定している」なんて考えていたら危険だと思います。利益剰余金=すぐに使える現金、ではないですからね。


中小企業の場合は代表者の肌感覚に勝る経理はない、と僕は考えています。決算の数字と肌感覚の数字には当然のことながら乖離が生じたりします。けど、肌感覚を信じることが大事か、と。


肌感覚が身についてくれば、数字が経営を語りかけてくるようになるか、と。そこまでいけたらいいですけどね。

February 3, 2009 |

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