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2011.10.14

人間の先入観と「確証バイアス」

住宅の仕事をしていた時のことです。


「3ヶ月で契約がゼロ」だったことがあります。すると、「ゼロ社員研修」なるものに出る義務が生じます。


「プレカット工場の草むしり」や「叱咤激励(実際は、叱咤叱咤?)」や「これからの生まれ変わる公約宣言」をします。それも、月に4回しかない休日の1日をまるまる使ってです。

その研修にでると支店長(といっても歳は自分より3つくらい上)から、「だから『ゼロ社員』は•••」とことあるごとに言われるオマケがついてきます。


「競合会社と競って負けた時」「展示場の接客で失敗した時」「本社から『今月の売上はどうなってるんだ』と突っ込みが入った時」•••よくぞまあ、「ゼロ社員」呼ばわりされてたなあ、と思います。


今、思います。この支店長はとにかく「確証バイアス」が強い人でした。


「確証バイアス」とは社会心理学の用語で、


「人間がある先入観を持ってしまうと、その先入観に基づいて他人や問題を観察。自分の先入観を補強する情報のみを選択し、先入観を覆すような情報やアドバイスを低く評価する(又は無視する)人間の心の動き」です。(※ いくつかの文献から自分なりにまとめました)


「大塚は『ゼロ社員』だから営業がダメだ」との先入観ができれば、「営業がダメだ」を補強する情報ばかりが耳に入ります(というか、自分の耳に残ります)。


逆に、「営業がダメだ」を否定するような情報(契約を取った、お客さんに評価された など)は低く評価したりします。時には無視します。


この例以外にも、「あの人はお金にシビアだ」との「確証バイアス」ができれば「あの人はお金にシビア」の情報が、「あの人は交渉ごとが苦手だ」となれば「交渉ごとが苦手」を補強するような情報が入ってきます。


更には、自らが先入観を補強するような情報を積極的に集めにいくことすらあります。


「あの人ってお金にシビアだよね」とか「あの人は交渉が苦手だよね」という具合に、第三者と話をすることで先入観を補強するための情報を集めにいきます。そこで得られた情報が、さらに自分の先入観を補強していきます。


もちろん、「確証バイアス」があるからうまくいくことだっていくつもあります。


「これからの時代は必ずこれが必要になる」との「先入観」を持ち、そのために必要な情報を集めて、周囲の反対を押し切って一気呵成に新規事業を進めて行く、なんて話はまさに「確証バイアス」がいい形に働いたケースでしょうしね。


けど、僕らが生きている社会は「確証バイアス」に満ち満ちていて、それが人間関係などに悪い形で働いていることが多いんじゃないか、と思ったりします。


むろん、人間だから「確証バイアス」をゼロにすることなどムリでしょう。けど、「人間には『確証バイアス』という心の動きがある」と知識として知っておくことは重要か、と。


そこから開ける何か、が必ずあると思います。


「人間関係が豊かそうだな」って人を見ていると「確証バイアス」が少ない人が多いように感じるのは気のせいでしょうかね。僕の中では最近は確信になりつつあります。


追記
「確証バイアス」で新規事業を一気に進めた例を本文で書きましたが補足します。


新規事業がうまく行かなかった理由の一つに「『確証バイアス』の強さ」が原因だったという例はゴマンとあると思います。「リスクの矮小化」ってやつですね。


優秀なビジネスマンは、「『確証バイアス』で立てた計画」を、「時間を置いて寝かせ」、さらには「計画自体を否定してみる」、その上で「『確証バイアス』をアップデートする」


これらをグルグルと回して行くような思考回路を持っているように思います。


「確証バイアス」は立てれども、それに心を居着かせず


ってやつですね。口でいうのは簡単ですが、「確証バイアス」をたてることで僕らは頭や心を整理する一面もあったりするので難しいことです。

October 14, 2011 |

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