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2012.04.01

人間の現実と、そこに切り込んでいく美意識と

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人種差別が激しかった1960年代のアメリカ南部の話。


富裕白人の家庭でメイドとして働く黒人女性と一人の白人女性とのかかわりを軸に展開されています。


「白人のトイレは使うな」だとか「同じ場所で食事をするな」だとか、その昔、学校で習ったアパルトヘイトを彷彿とされるシーンが続きます。


で、その一人の白人女性が問題意識を持ちはじめ、メイドに取材をはじめる。


「自分の子供を預けて、白人の子供を育てる。しかし、将来的には自分が育てたその子供に差別をされる」というメイドの葛藤が「言葉ではない言葉」でたくみに表現されていました。


当時の富裕白人の中で、人種差別に問題意識を持った人がどれだけいたのかはわかりません。


けど、この映画の主人公である一人の白人女性はそこに問題意識を持った。で、そこから結果的に社会を変えていく風穴をあけた。


一方で、映画に登場する富裕白人の多くは「そこには問題はない」と感じていた。おそらく、「自分たちの生活は安定して、調和している」と感じていた。


後の時代の自分達が「問題意識を持たなかった」ことを批判するのはたやすいことです。


問題意識ってのは、教育だとか、生育環境だとか、見てきたことや聞いてきたなど、おかれている立場、利害感覚などさまざまな要因からはじめてうまれていくもの。


それを当事者ではない第三者があれこれいうのは簡単です。


逆に、「自分がこの映画の時代を生きていたら問題意識を持てただろうか?」と考える時、「人間は本質的に差別をする生き物であること」「勇気をもって行動したいが、しがらみに負けてしまうこともある」という人間の現実に直面せざるをえません。


メイドを差別しながら、富裕白人が「アフリカの貧しい子供への慈善チャリティ」を行っているシーンが描かれていました。


けど、これって人間の現実を直面するところから無意識的に逃避しているようにしか見えませんでした。


人間は差別もするし、いろんなしがらみの前に勇気もなくす


けど、その中で自分の美意識を発揮してがんばろうとする時もある


個人的には一人一人の人間はそれくらいの存在だと思ってます。


だから、この映画のように誰かの美意識が発露された時に周囲は感動を覚えるのでしょうしね。とにかく、素晴らしい映画でした。

April 1, 2012 |

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