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2012.09.18

「本当の自分」なんてのは実体がない

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「本当の自分」


って言葉になんとなく違和感を持っていたんです。


自分の場合、「会社で仕事をしている自分」、「家でぼけーっとしている自分」、「昔の仲間といる自分」、「ここ最近の仲間といる自分」


「飲み屋でバカみたいに酒を飲んでいる自分」「尊敬する先生に師事している自分」「おとなしく本を読んでいる自分」「コンサートに行っている自分」・・・


どれもが「自分」であるんだけど、「本当の自分」がどれなのか、といわれるとよくわからん。


一日の大部分を占める「会社で仕事をしている自分」が「本当の自分」のようであり、外の世界とのしがらみが一切抜けた非防衛的な状態である「家でぼけーっとしている自分」が「本当の自分」でもあるような気もする。


けど、どれが「本当の自分」なのかはよくわからん。


だから「本当の自分に出会う」なんて話を聞くと、「『本当の自分』ってどんな定義で口にしてんの?」と突っ込みをいれたくなってしまうわけです。


で、世の中には同じようなことを考えている人がゴマンといるわけでして、その中で選ばれた人が凡人にも分かりやすく「本当の自分」についての考察をしてくれるわけです。


小説家・平野啓一郎さんは自分より下の世代(1975年生まれ)。


たった一つの「本当の自分」など存在しない。裏返して言うならば、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である。(P7)


このテーマを「分人」(ぶんじん)ってキーワードを持ってきて鋭く解説してくれるんですね。


「本当の自分」ってのがよくわからない。


「本当の自分」ってものがどこかに存在しているんだろうけど、今の自分にはそれを手にしている実感がない。


そんな人が「自分の成り立ち方」を考えるには思考の補助線となる本です。


平野さんも言うように、「本当の自分」なんてのはきっと幻想なんです。


欧米から輸入された個人主義が歪んで解釈されたのと、「本当の自分」ってのを打ち出すことで市場を形成していった商売人の知恵が多くの人を「本当の自分」へと向かわせたんです。


たぶん、人間なんてのはいくたの関係性の中で回りから色付けられていく存在なんでしょう。


「本当の自分」なんて探す暇があれば、近くの人と真摯に付き合った方が得策ですよ。たぶん。

September 18, 2012 |

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