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2018.11.08

好きなことを仕事にできていいですね

「好きなことを仕事にできていいですね」


こういわれることがたまにあります。きっと自由そうだし、しょっちゅう旅しているイメージがあるのでしょう。服装も自由だし、上司もいません。きっと、この言葉は否定できませんね。


だからといって、「好きなことを仕事にする」ということにあまり価値を置いてはいません。


理由は二つかな。


まず一つ目は、「好き」ってのは単なる人間の感情だから。


感情を満たすために仕事があるのではなく、「世界のため、人のため」に仕事があるからです。「自分のやるべきこと」と「自分の感情」とを秤にかけたとき、「自分のやるべきこと」を選ぶのが企業家だとふつーに思うからです。


企業家なんですもの、「好き」「嫌い」の感情なんて、二の次、三の次です。そこは、「好きなことを仕事に!」なんてテンションの高い世界ではなく、もっとたんたんとした「こっちが望まれているならやりましょう」的な世界のような気がします。


二つ目は、「好き」って感情は一瞬たりとも同じ場所にとどまっていないからです。


「好き」は「次の好き」を呼び、「次の好き」は「その次の好き」の伏線になる。そう考えていくと、「好きなことを仕事にする」というのは終わりがなくエンドレスなはずです。どこまでこれを続けるか、という問題がでてくる。


で、「好き」という感情をを満たす感覚器官への刺激は、どんどんと強さを求めるようになるはずです。


例えば、講師業として独立した人がいるとします。最初は「人に教えるだけで幸せ」だったとのが、「もうちょっと大きな舞台でやりたい」だとか「もうちょっと儲かるようにしたい」だとか当然のように形を変えていく。


で、こわいのは「好きなこと」は時間をかけて「執着」へと形を変えていく可能性があること。


執着とは「それがないいといられない状態」です。私のことでいうと、「寝る前に食べるハーゲンダッツ」みたいなものですね(笑)


それがないと、欠乏を感じるのが執着です。逆にいうと、「ああ、寂しいなあ」って感情は執着の裏返しです。


「好きなことを仕事にしよう」と思って独立した、けどいつかそれが目的(執着)になっていた・・・これ、「誰でもが起業家時代」の今、そこかしこでみられる光景かと。


こと、「起業」において、「起業家の欠乏感から生まれたサービス」が長続きするとは思えません。日本の消費者はそんなのを簡単に見極める目利き力をもっているはずですしね。


「好きなことを仕事にする」


というのはビジネスモデルの一つだと私は思います。かつて就職情報会社が創ったといわれる、「本当のあなたに出会う」ってやつと構造は一緒ですね。

November 8, 2018 in 仕事のことについて | | Comments (0) | TrackBack (0)