昭和の歴史に格好の一冊
売れていると聞いたので、読んでみました。
May 17, 2006 in プチ経営の哲学, 最近読んだ本 | Permalink | Comments (0) | TrackBack (0)
売れていると聞いたので、読んでみました。
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「この本に出会わなかったらどうなっていただろう」
という本が存在する人生は幸せだ。
そんな本の数だけ彩り多い人生を送っている、と僕は思う。
僕は仕事柄(といよりは広告の仕事をしている以上、といった義務感が半分)よく本を読む。
が、最近の本に「こんな本を書いてくれてありがとう!」という本は少ない。
もちろん、僕自身の目利きの問題もあるのだが、それ以上に出版業界に志がなくなりすぎた。
横並びの企画、真似だらけの装丁、大量生産がゆえの内容の軽さ・・・こんな著者に何が書けるの??といった人も決して少なくはない。(早晩、そうした人は淘汰をされるけどね)
僕は1年間に300册くらいは本を読むけど(雑誌、漫画は除くですよ)「これは何回も読もう」という本はせいぜい10册くらいかしら。その中で、「この本に出会わなかったら・・」となると、1冊あればいい方だ。
昨日、そんな本がやってきた。
僕のブログではたびたび登場している田坂広志先生(多摩大学大学院教授)の新著『使える弁証法〜ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える』だ。
「ドイツの哲学者ヘーゲルの弁証法を使って未来を洞察したり、物事の本質をつかんだりする」という哲学的思索のための本、だ。
「ヘーゲル」!、「哲学」!!、「弁証法」!!!と聞いただけで嫌気がさしたんだけど、田坂先生が書いた本なので早速読んでみましたが、これがびっくりです。
今まで会社をやってきて「なんとなくこうだろうなあ〜」と思ってきた事が弁証法の視点からズバリと説明ができるんですね。昔の人の叡智ってすごい。
●「螺旋的発展」
●「否定の否定による発展」
●「量から質への転化による発展」
●「対立物の相互浸透による発展」
●「矛盾の止揚による発展」
これらをつかめば、世の中の変化の本質がわかったり、世の中の変化の未来が見えるようになる、というのだ。
例えば一つの例、として。
インターネットが流行する。それが一段落つくとする。
すると古い時代の遺物(?)が息を吹き返す。例えば、フリーペーパーなどの紙の媒体が勢いを盛り返す。数多く発刊されたり、様々なジャンルのものが相次いで創刊されたりとする。
これはヘーゲルの哲学でいうところの「螺旋的発展」だとか「否定の否定による発展」の法則で説明ができるそうだ。
更にもう一つの例、として。
「ネットVSリアル(店鋪)」と一時期いわれていた。ネットが隆盛して、リアルは廃れると真剣にいわれていた。
が、最近ではネットだけでは不十分になりつつある。ネットとリアルの融合なしには大きなビジネスは成功しなくなってきている。
これも、「対立物の相互浸透による発展」の法則で説明ができるそうだ。
改めて、昔の人の叡智って凄いなあ〜と。時代の風雪に耐えた学問は素晴らしいな〜と。
印象に残った所はいろいろとあるんだけど、一つだけ
すべての物事には、その内部に「矛盾」が含まれているが
この「矛盾」こそが物事の発展の「原動力」となっていく
そして、この「矛盾」を機械的に「解消」するのではなく
それを弁証法的に「止揚」した時に、物事は発展を遂げる
(P161より)
止揚、ってちょっと難しい言葉だけど
お互いに矛盾し、対立するかに見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくことです。(P165)
という意味、みたい。
企業経営における「利益追求」と「顧客満足」の問題なんかそうだよね。
安い価格で商品を提供すれば、顧客に喜ばれる。けど、その結果として企業としての利益は小さくなってしまう。結果的に、安い商品を提供できなかったり、サービスに支障をきたしてしまったりとする。
でも、そうした矛盾を弁証法的にマネジメントするのが企業経営の要諦、経営者の腕の見せ所、だね。
更に先生はいいます。
この世に存在する様々な「矛盾」を前に、それを深く心の中に把持し、
「割り切る」ことなく、格闘し続ける事。
それは、まさに「魂の強さ」とでもよぶべき力量が求められる営みなのでしょう。
そして、そのことを理解するとき、我々は、
古くから、優れた経営者や指導者に贈られる、あの言葉の、本当の意味を知ります。
「器の大きな人間」
それは、心の中に、壮大な「矛盾」を把持し
その「矛盾」と対峙し、格闘し続けることのできる人間。
そうした人物に贈られる言葉なのでしょう。
なるほど!
器の大きさって矛盾を受け入れる度量みたいなものなのか。どうりで自分の器がなかなかでかくならないな、と思ったわ。
たびたびでしつこいようですが、昔の人の叡智に脱帽です。早速、ヘーゲルの本を買ってきて読みました。あー難しっ。
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November 29, 2005 in 最近読んだ本 | Permalink | Comments (2) | TrackBack (0)
当時は広告代理店で働いていた僕は、神田さんが主催する顧客獲得実践会に自腹で入会して、50,000円の教材を購入した。そして、まだあやふやだったマーケティングを勉強して、そもそもマーケティングとは?といったところから理論武装をしていった。
2001年に会社を作った時は「神田さんがいい時代に現れてよかった」と思った。それほどまでに、彼のノウハウはパワフルで即効的だった。会社が比較的に早い段階で軌道にのったのも、彼のマーケティング技術に追うところが多い、と思うのだ。
その神田さんは、中小企業のマーケティングから派生して、英語の加速教育、「フォトりーディング」という速読法、企業のメンタルヘルスなど幅広い活動をされている。最近、始められたのがリビング・ヒストリー・プロジェクトという非営利活動だ
先人が体験した歴史を、次世代へと継承すると同時に、そこから得られた知恵をこれからの世の中に生かしていこうとされている。今回の本もその活動の一環として出版されたのだろう。
本の中でこういう一節がでてくる
日本経済は、70年周期でまわっているという仮説がある。(略)たしかに、歴史の大きな流れを追ってみると、70余年前と今の時代とで、怖くなるほど同じような出来事が多数起きている。
なるほど!そんな例として、
「バブル景気が終焉する有様は、1905年からはじまった大戦景気が1920年の株価暴落により恐慌へと一転したプロセスと酷似している」「阪神淡路大震災の72年前には関東大震災が起こっているし」「2005年に中国で激化した反日デモは、その70年前、1935年に中国共産党が抗日救国統一戦線を提唱した「8,1宣言」を彷彿とさせる」
と例をあげている。最近、この話は僕が尊敬するコンサルタントもよく話をされている。今から70年前の1936年には国策の基準が定められ、日独防共協定が締結されて戦時体制へと突入した時期だ。大きな時代の変革が訪れた時代だ。ドイツと堅い同盟を組んだ当時と、アメリカと歩調を合わせる現代、似ていなくもないかな、と思う。
僕は一つ一つの歴史の事実を検証していないのであまり知ったかぶりで偉そうなことはいえない。けど、歴史は繰り返すというのは、歴史を勉強していると何とはなしに感じることがある。少なくとも、1930年代の日本と現在は国をとりまく環境だとか、僕らの意識だとかが極めて似ているような気がするのだ。少なくとも僕の知っている範囲では。
僕は今の時代にあったバランスのいい考え方は政治家がしてくれている、と考えている。政治家に文句がある人は自分が立候補してでやればいいだけの話だ。だから、「自衛隊の海外支援=軍国主義」みたいな安直な考えは持っていない。日本の政治はそんなに未成熟ではないし、政治家が私利私欲だけで行動している訳ではない、と考えている。
だから、戦前の軍備拡大路線に走った時代がそのまま繰り返すとは思ってはいない。けど、これからどんな時代が始まるのか、を予想するには歴史の中に数多くのヒントが存在する、と思っている。
1930年代の僕らの先達が何を考えて、何を期待して、何を楽しんでいて、何を夢見てたのか・・そんなことを考えると、これから先の時代が見えてくると思うのだ、と考えた1冊だった。
July 26, 2005 in 最近読んだ本 | Permalink | Comments (1) | TrackBack (0)
『生命の暗号』という流行りの本を読んだ。「運命は生まれる前に決定され、人生の明暗は名前から読み解かれる」と帯の説明にあるように、名前を解読すれば私たが今生で果たす役割が分かる、というのだ。
僕はこの手の本は話半分で読む。確かに、人により今生での役割(魂の目的)は決まっていると思う。けど、僕らの目的や役割などは、日々の地道な生活の中から行動と反省、そして格闘を通じてつかむもので、名前を解読したり、霊能者に聞いたりして安易に目的を知ろうとする安直な姿勢はどうも共感できない。
そんな本だったが、ひとつだけものすごく共感できる部分があった。「先祖の無念なる思いが今の私たちを動かす」というくだりだ。
ある人が一代を生きて人生を終えた時「もっとこう生きればよかった」とか「あれが間違っていた」とか、いろいろと反省するのだと思います。そして、うまくいかなかった原因を探し出すと、「今度は逆の形でいきてやろう」と思うのかもしれません。”無念なる思い”が魂ゆらを生み出し、それが性を変え、が逆霊となって隔世してくるのはないでしょうか。(P66より)
ちょっと難しいが、先祖の無念な思いが自分の魂の目的に大きく影響しているのだということらしい。詳細は省くがそれは隔世で伝わるということだ。つまり私の場合は祖父と祖母の思いが影響しているということだ。
僕が生まれた時、母方の祖父だけが健在だった。晩年は好々爺だったが、かつては一代で事業をはじめ、一代で事業を潰したと聞いた。子供の頃、物置きからおどろおどろしい資料がいっぱいでてきて驚いた。それは倒産関係の裁判資料だった。内容証明や判決資料など膨大な数だった。
女性関係もはちゃめちゃだった、と聞いた。詳しくは書けないが、子供ながらに昔の事業家はやることなすことスケールが違う、と思った。
祖父は1994年に88歳で亡くなった。死の間際にどのような思いを持って亡くなったかは分からない。「あの時にああしておけば会社は大丈夫だったのに」とか「生まれ変わって会社をするのならこうしたい」と思ったのかもしれない。
その後、僕は2001年に会社をつくった。創業にあたりお世話になった会社が事務所を移転するという。その後に事務所を構えることにした。品川の五反田から5分くらいのところだ。
数カ月後、何かの用事で母が事務所にやってきた。事務所にくるなり驚いている。なんでも「昔おじいちゃんが会社をつくった場所のすぐ近く」だったからだ。道路を挟んで5分くらいの所に祖父の会社はあったというのだ。
当時は、これも何かの縁だなあ、位にしか思わなかった。が、会社をやればやるほど、祖父のDNAに影響を受けている自分に気がつくのだ。魂とか、人生の目的、だとか理屈では説明できないけど、祖父の思いが僕の事業に影響を与えているような感じが皮膚感覚でするのだ。
今回、自分の事業に「祖父の満たされなかった思い」というキーワードが結びついた。地に足ついて事業をしていこう、と改めて思うのだ。
June 8, 2005 in 最近読んだ本 | Permalink | Comments (2) | TrackBack (0)
メジャーで活躍するイチローが少年球児を前に講演をした時のこと。
「野球をする上で大切なことは何ですか?」と聞いた少年に「練習をする時に汗を拭くタオルをもってくること。あとは道具の手入れをすること」といったそうだ。「足腰を鍛える」だとか「肩を強くする」前に、するべきことをきちんとやるのが上達への一番の道、ということなのだろう。
この場面を直接見たわけではないので事実かどうかはわからない。けど、彼ならサラッといいそうなことだ。
出張の車中で「夢をつかむイチロー262のメッセージ」という本を読んだ。メジャー挑戦後のメディアでの発言を編集、再構成した本、だという。
262のメッセージ、例えばこんな感じだ
●夢をつかむということは、一気にできません。ちいさなことをつみかさねることで、いつの日か、信じられないような力を出せるようになっていきます。
●ムダなことを考えて、ムダなことをしないと、伸びません。
●そのこと(世界記録)はまだ、目標というよりは夢ですが、これがだんだん近づいてくると、目標にかわってきます。
「大切なのは何をいうか、よりも誰がいうか、ということ」という言葉を思い出した。決して目新しい言葉ではないのだが、メジャーに挑戦して、偉大な記録を打ち立てたイチローの言葉だけにいいようのない重みがある。
イチローが語る言葉にはいくつかキーワードがある。僕なりに解釈するとそのうちの一つが「完璧な準備」ということ。「自分にとって一番大切なことは、試合前に完璧な準備をすることです」(P87)と語るように、イチローは準備を徹底するらしい。
やるべきことをやったらあとは天に任せるだけ、と僕らはいう。けど、その思いのどこかに「準備不足」という気持ちが頭をかすめる時、僕らの心は揺れる。それは自信喪失ということになって、パフォーマンスにもメンタルにも大きな影響を与える。
イチローは試合後、グローブの手入れをしながら試合の反省を徹底的にするそうだ。試合前には必ずシャツを着替えて、スパイクの泥を取り除くそうだ。練習もトレーニングよりもそれらの基本がベースにあってのこと。完璧な準備の積み重ねがあるからこそ、結果に対して一喜一憂せずにいられるのだろう。
イチローはもっともっと野球がうまくなりたい、と思っているそうだ。僕は理想の会社をつくりたい、と思っている。自分が納得できる生き方がしたいと思っている。そのためにイチローほどの準備をしているだろうか、と考えると全く心もとない。
まずは、仕事をする準備のために机の回りの整理からでもはじめますか。
June 3, 2005 in 最近読んだ本 | Permalink | Comments (0) | TrackBack (0)
5年前のこと。自宅のHPからネット広告の資料請求をした。時間は夜中の2時。すると明け方4時には「資料請求ありがとうございます」と御礼のメールが来ていて驚いた。更に、8時半に出社すると担当から電話がかかってきた。「本日お時間ありますか?」と。凄え会社があるんだな、と思った。
それは、1週間で110時間働くと豪語する藤田社長率いるサイバーエージェントの創業間もないころの話だ。その藤田社長が本を出したので読んでみた。
「渋谷ではたらく社長の告白」と題されたこの本。
企業パートナーとの出会いと分かれ。インターネットの寵児ともてはやされての上場からネットバブル崩壊、それに伴う社員の離反やマスコミからのバッシング。ライブドア堀江社長、楽天三木谷社長など、いまをときめくIT経営者とのエピソードもあり、なかなか面白く読んだ。
藤田氏と僕とはいくつか共通点がある。福井県出身の氏に対して、僕が社会人のスタ−トをきったのが同じ北陸の石川県。初めての仕事が法人への飛び込み営業。サラリーマンにはなりたくない、とは思いつつ自分になにができるかわからない葛藤、のようなもの。そして何より、企業の永続的な繁栄を検証した名著「ビジョナリー・カンパニー」に衝撃を受け、企業そのものが作品といわれるような会社をつくりたいと思ったことなどだ。
とはいえ、氏は上場企業のオーナー。僕は中小企業の代表。同じような時期に、同じような環境で仕事をはじめて、同じような本に感化されて、そんな二人だけど今は売上ベースでは数百倍の開きがあるのだ。
これを「経営者としての力量の違い」といって片付けてしまえばそれまで。本を読んでみて氏と僕の違いを考えてみた。
まず一つ目は「志の違い」について。藤田氏は「21世紀を代表する会社をつくる」と人生の目標を定義している。僕は「かかわりある人の成長と成功」を人生の目標としている。どっちがよくて、どっちが悪いという問題でもないだろうが、前者の方が大きいことを成し遂げるような感じがする。夢は大きい程よい、と子供のころいわれたが、この志の違いが氏と僕の成果の差だろうか?と。
二つ目は「経営のポジション」について。氏はインターネットという成長曲線まっただ中の業界で戦うことを経営のポジションにした。僕は、インターネットの広告もやったが、基本は紙の広告にこだわった。自分の会社がどのポジションで戦うか?は経営にとっての一大事だ。これを誤ると会社は崩壊するし、正しければ(=市場から支持されれば)多少ダメ経営者でもそれなりの成果を残すことができる。その違いだな、と。
最後は「自分に対しての自信」について。本の中で藤田氏は自分をこう分析(?)する。「怪しい臭いを感じるとさりげなく遠ざける能力が備わっていた」(P107)「私には優秀な経営者を会ってすぐ見抜く力が備わっていたようです」(P199)「営業出身で採用や取材も巧みなプレゼンテーションでこなしてきた私は」(P229)と自信満々なのが回りを巻き込むために大事なのかな、と。僕はここまでいえる自信は正直ない。
そんなことをいいながら僕は上場にも、会社を必要以上に大きくすることにも興味がない。それは「俺ってなんのために経営をしてるんだろう」と思いたくないから。
ネットバブルが崩壊し、社員が造反、マスコミからのバッシングの嵐の中、藤田氏は会社の売却を検討する。そんな頃、藤田氏はこう考えた、と書いている。
サイバーエージェントを設立したとき、絶対に凄い会社に育てると胸に誓いました。恋人とも別れ、仕事だけの人生をえらびました。一日たりとも休まず働き続けていました。美味しいものも食べず、遊びにもいかず・・・。すべては自分の夢のために犠牲にしてきました。会社経営に、人生を捧げてきたつもりでした。そんな自分の生き方が本当に正しかったのか・・。自分の望んでいた人生はこれだったのか・・。そんなことすらもわからなくなっていました。(P270)
一般的に上場をすると、株主が直接的にも間接的にも口を出してくる、という。「売上をあげろ」だとか「今は設備投資をしろ」だとか「社長は遊び過ぎだ」だとか・・会社のことを一番考えているのはオーナー社長なのに、株主というだけで口を挟んでくる人がでてくる。無理をして売上をあげなくてはならなかったりもする。たとえそれが自分の志と相反していてても。
僕はそういう世界はごめんこうむりたい。とはいえ、そういう世界で戦いながら志を通そうとする経営者を尊敬する。10代、20代の若者たちが「自分も起業してみたい」と夢を抱くような成功者のイメージを、私たち企業家が体現する必要があると思う、という藤田氏。同世代の代表としてぜひとも頑張ってもらいたい、と心から思う。企業家志望の方は読んでおいて損はないと思います!
April 2, 2005 in 最近読んだ本 | Permalink | Comments (0) | TrackBack (0)